
ん?編集長、なんだか嬉しそうですね。
松本聞いてください!思わぬところに「馬頭観音」があったんですよ。
見つけた時、すごく嬉しかったんですよね。
道端にひっそりとたたずむ石造物が大好きです。そこに刻まれた古い年号を見るやいなや、あっという間にはるか昔にタイムスリップできるような気分になりますし、ずっと昔からこのまちにも人がいて、いろんな暮らしをしていたんだと実感できて楽しくなるからです。…なんてことを友人に言うと「うーん、意味がわからない(笑)」と言われることもしばしば。でも、わかってくださる方もいるはず…きっと。
今回からお届けするのはシリーズ・「阿波市の石造物をめぐる」。1回目の今回は、私がまったく気が付かなかった「馬頭観音」との出会いについて。先人が残したものにアンテナを張るだけで、まちの見方が少し変わるかもしれません。そんな日常が楽しくなるような気づきもご提供できたらとてもうれしいです。
それではさっそく、馬頭観音をご紹介しましょう。
馬頭観音(阿波市市場町尾開字日吉) | 阿波市の石造物めぐり(1)
場所について(阿波市市場町尾開字日吉)
松本先に場所をご紹介すると、阿波市役所から金清自然公園へと向かう道の途中にあります。地図では金清自然公園と表示されていますがこれはGoogleマップ側の誤りです。

編集長はこの道、よく通るんですか?
松本よく通ります!土成町のお客様のところに行く時とか、もちろん阿波市役所に用事がある時に。ただ、いつも「車」なので道路脇をゆっくり見たことがなかったんですよね。

まあ確かに、運転してるとそんな細かいところを見ることができませんもんね。

松本なんて話をしてたら現場に到着です。

えっ、馬頭観音はどこにあるんですか?
松本左側の落石防止用フェンスの隣あたりですね。
馬頭観音

<データ>
▪️天保十二 巳 八月三日
▪️馬頭観音
▪️興崎村(?) 木***(?)
※定かでない部分は?や*をつけています。
馬頭観音とは:
頭上に馬の頭を冠した観音菩薩の変化身。馬の守り本尊。農業や運搬の主役でもある牛馬の安全祈願や、亡くなった馬の供養が目的とされる。
松本天保12年は1841年、江戸時代ですね。今から約180年前に設置されたようです。馬頭観音といえば憤怒の表情が一般的ですが、シンプルかつ柔和な表情をしている点が特徴的です。
それでは、撮影前にしっかりとおがみましょう。

・・・・・(おがむ)
ん?隣にはお酒の容器でしょうか。お供えをされている方がいらっしゃるんですね。ちなみに編集長はどうやってこの馬頭観音に気づいたんですか?
松本ある団体様から情報発信のお仕事を任されているんですけど、その取材の際にこの道を歩いていたらたまたま気がついたんです。

なるほど。車じゃ確かに見逃しちゃいそうです。まちって歩かないとわからないことがたくさんありそうですね。
松本いや、ごもっとも。もっと歩かなきゃと反省しきりです。
ちなみに、ここに馬頭観音があるということは多くの牛馬や人々が行き交う物流の要所だったと推測できます。重い荷物などを牛馬に運んでもらっていた様子をうかがいしることができますね。

まちの中の、人の流れを読み取ることができる。それが馬頭観音なんですね。
松本そして、牛馬を気遣う昔の住民の方々のやさしさも感じ取ることができます。馬頭観音をもしみかけたら、お疲れ様と頭の中でつぶやいてあげてください。
むすび
シリーズ「阿波市の石造物をめぐる」。1回目の記事をお送りしてまいりました。石造物を調べることできっと、その場所の歴史はもちろん、先人の暮らしの様子や思いを感じ取ることができます。このシリーズを通して、いつもとは違った側面からまちの文脈を考察するとともに、まちへの愛着がわくような「気づき」をお届けできたらと思っています。
それではまた、次回の記事でお会いしましょう。
(取材:松本剛)
