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みずみずしい生命力と躍動感が宿る尾開(おばり)のクロガネモチとその脇にたたずむ地蔵堂。長年にわたり住民の手によって守り続けられてきたこの場所について、連載形式でご紹介してまいります。今回はその第1回目です。

目次

樹齢600年以上、樹高21メートルの堂々たる姿

尾開のクロガネモチと地蔵堂
尾開のクロガネモチと地蔵堂を南側から撮影。

 小高くて開けた景色が美しい阿波市市場町の尾開・日吉地区。金木犀の香りに季節の移ろいを感じながら細い道を進むと、尾開のクロガネモチと地蔵堂が見えてまいります。さてこのクロガネモチ、樹齢はなんと600年以上を誇り、さらに樹の高さは21メートル。一般的なクロガネモチの高さは大体10メートルまでと言われていることを踏まえると、この規格外の数字に思わずため息が出てしまいます。また注目すべきはその樹勢。時を経たからこその味わい深い広がり、青天に伸び行く姿はまさに見事の一言。生命力あふれる大樹からは、形容しがたい力をもらえます。

尾開のクロガネモチ、天然記念物
昭和37年1月16日、県の天然記念物に指定されました。
尾開のクロガネモチ
北側からの撮影。

そんな生命力をより肌で感じたいのであれば、北側からの眺めがおすすめです。地蔵堂は隠れてしまいますがその分、クロガネモチを十二分に味わうことができます。どっしりとした様に心を落ち着かせるのもよし。風を受けて、踊るように葉や枝を動かす様子を楽しむのもよし。まだまだ数えきれないほどの楽しみ方が、この木にはありそうです。なお余談ではありますが、これからの季節、クロガネモチは赤い実をつけます。葉の緑と赤の鮮やかな色の競演は必見です。

尾開のクロガネモチと地蔵堂
緑から黄色、そして赤く変化する実。
尾開のクロガネモチ
10月末に撮影。より赤みを増しています。
尾開のクロガネモチ
11月中旬に撮影。

いにしえから現代へ、時が経ても変わらない住民の想い

尾開のクロガネモチと地蔵堂
地蔵堂内の様子。住民の方々に愛されている様子をうかがい知ることができます。

 さて、尾開のクロガネモチの脇には地蔵堂があり、堂内には地蔵菩薩様が二体鎮座しています。ところでこの堂内の地蔵菩薩様、もともとはクロガネモチの根元に置かれてあったとのこと。それがどのような様子だったのかを知る由もありませんが、広く大きいクロガネモチの樹下ですので地蔵菩薩様もそれはそれで居心地がよかったのかもしれません。しかし、菩薩様により良い場所をと先人の方々は思ったのでしょう。新たに設けられたこのお堂に移された菩薩様はどれほど喜んだことでしょうか。この、あたたかな思いは現代にも受け継がれているようで、地蔵堂内は管理の行き届いた快適な空間。さらに地蔵菩薩様の脇に添えられたかわいらしい花に思わず笑みがこぼれました。尾開のクロガネモチと地蔵堂のあたりをつつむおだやかで優しい雰囲気。それはきっと、この場所を守り続けてきた住民の方々がゆっくりと時間をかけて培われたものなのでしょう。

尾開のクロガネモチと地蔵堂
撮影についてきた娘。「お地蔵様のお家、大好き!」と今やすっかりお気に入りの場所に。
尾開のクロガネモチと地蔵堂
まばゆい光とともに沈む太陽。地蔵堂からの眺めは格別です。

いにしえから受け継がれてきた人の想いが宿る尾開のクロガネモチと地蔵堂。訪れるたびに心が洗われる、とっておきのスポットです。

(取材・撮影・文:松本 剛)

[ご参考]尾開のクロガネモチの概要




住所:〒771-1621 徳島県阿波市市場町尾開日吉
樹齢:600年以上
樹高:21メートル
樹冠:東西15メートル、南北17メートル
幹回り:2.95メートル
備考:徳島県天然記念物(昭和37年1月16日指定)

【補足】尾開のクロガネモチと桜の競演

尾開のクロガネモチと桜
地蔵堂をあたたかく包み込むように咲く桜。
尾開のクロガネモチと桜
4月。尾開のクロガネモチの脇には色鮮やかな桜の花があらわれます。
尾開のクロガネモチと桜と地蔵堂
地蔵堂と桜。
尾開のクロガネモチと桜の花
尾開のクロガネモチと桜
地蔵堂から見上げた桜の花。ゆったりと、何も考えずに眺めるのがおすすめです。
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